アヒルと鴨のコインロッカー

yomimaru2005-07-27

bk1

弱気な大学生椎名は、黒尽くめの美青年カワサキに本屋襲撃の同行を要請される。カワサキと喧嘩中の琴美は留学生ドルジと動物殺しの犯人から逃げる――二人の視点が交錯する清冽なミステリー。
犬はどこだ(米澤穂信)*2も二人視点で話が進みますし、12月のベロニカ(貴子潤一郎)*3も似た構成といえるかもしれませんが、本作では一方の視点と他方の視点の、時間的・空間的・人間的な重なりが精妙で好み。
ミステリーで二人の視点が交互に提示される文章形式といえば、自ずと期待されるものがいくつかあるわけですが、結末では、その期待に違わぬスッキリ感があります。
琴美の友人達に共感して読むとイライラさせられる彼女の「解決の先延ばし体質」は一歩引いて志村後ろ後ろ!的な読み方でいきましょう。