このラノ2006分析(2) 作家別得点数集計

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前回に引き続き、このライトノベルがすごい! 2006*1で公表された作品ランキングのデータをもとに、色々考えてみたいと思います。今回は、作家別得点数集計で、前回同様、《60位までに入った作品の得点数による作家別集計》です。
票や得点の分布に公開されていないものがありますので、あくまで近似値です。ご注意ください。

順位点数作家備考
1357桜庭一樹 [219] GOSICK[94] 荒野の恋[44]



2292時雨沢恵一 ♠[235] リリトレ♠[57]
3285西尾維新 ♠[285]
4275桜坂洋 AYNIK[162] 現代魔法[73] スラム[40]
5261成田良悟 !![133] バッカーノ![85] ヴぁんぷ![43]
6214渡瀬草一郎 [214]
7211川上稔 ♠[211]
8205谷川流 ♠[205]
9187竹宮ゆゆこ [187]
10162浅井ラボ [162]
11161橋本紡 [161]
12139桑島由一 神様家族[84] 大沢さんに[55]



13134片山憲太郎 [134]
14127賀東招二 ♠[127]
15124喬林知 ()♠[124]
16121高橋弥七郎 ♠[121]
17102三枝零一 [102]
18100上遠野浩平 ♠[100]
1997今野緒雪 ♠[97]
2096葉山透 9S[96]
2188岩井恭平 ムシウタ[88]
2285甲田学人 Missing[85]
2384有川浩 海の底[84]
2483高瀬彼方 デバフロ[83]
2581小川一水 復活の地[81]
2680吉田直 トリブラ[80]
2776壁井ユカコ キーリ[76]
2873ハセガワケイスケ しにがみ[73]
2964おかゆまさき ドクロちゃん♠[64]
3061雪乃紗衣 彩雲国♠[61]
3061海原零 銀盤[61]
3260須賀しのぶ 流血女神伝[60]
3359結城光流 少年陰陽師[59]
3458新城カズマ サマー/タイム[58]
3557米澤穂信 古典部[57]
3655田口仙年堂 吉永さん家[55]
3655岩田洋季 護くん[55]
3852鎌池和馬 とある魔術の♠[52]
3852滝本竜彦 NHKに♠[52]
4049日日日 狂乱家族日記[49]
4049菅沼理恵 星宿姫伝[49]
4049谷瑞恵 伯爵と妖精[49]
4345新井輝 ROOM No.1301[45] -
4443林トモアキ おりがみ[43]
4443田代裕彦 平井骸惚[43]
4443高野和 七姫物語[43]
4742十文字青 薔薇のマリア[42]
4841清水文化 気象精霊記[41]
4940水口敬文 憐 Ren[40]
5039ヤマグチノボル ゼロの使い魔[39]
5039あざの耕平 BBB[39]
5039山形石雄 司書爆[39]
13位以降は、複数作ランクインの桜庭一樹時雨沢恵一桜坂洋成田良悟桑島由一を元のランキングから抜いたものと同じになってしまい、情報として面白くないので、おまけとして、コミックとらのあなくまざわ書店グループの文庫売上げベスト50とノベルズ売上げベスト25(p.32-37)に入っている作品に、♠印をつけてみました。
前回同様各グループを10人前後にしつつ、作品ランキングのや得点の変化が比較的大きいところを目安にしながら、第1グループ〜第5グループに区切り、それぞれのグループ内の♠の数も表示しました。

傾斜配点の効果

作品ランキングで10位以内のものと11位〜20位のものの分布を、前回と今回で比較してみましょう。
票数集計でも、得点数集計でも、作家の1位〜11位に10位以内作品が集中し、12位〜20位に11位〜20位作品が集中していることがわかります。
つまり、票数に対し得点は、書評人(編集部が依頼した協力者)と普通人(ウェブアンケート)で、持ち点が45点対15点と、重みに差が付けてあるわけですが、投票された作家分布のおおまかな傾向は、傾斜配点してもしなくても、違いはない、ということです。

書店売上げとの関係

♠印のついた売上げ好調作品。とらのあなくまざわ書店で全く異なる作品が並んでおり、このデータをどう読むかは難しいかもしれません。もっとも、欄を見ると、

第1グループ (11人) ♠♠♠♠♠
第2グループ ( 9人) ♠♠♠♠♠
第3グループ (11人) ♠♠
第4グループ (11人) ♠♠
第5グループ (10人) なし
なので、得点数集計の順位が高いグループほど売上げ好調作品も多い、という大きな傾向が見てとれます。
このラノの投票結果は、特殊な傾向を持った人の好みだけが突出したランキングではなく、売行きがそれなりにきちんと反映されていることがわかります。

親グループの中を子グループに分けて

第1グループをさらに詳しく見ると、5位(261点)と6位(214点)の間に、かなり大きな得点差があることがわかります。ここでさらに2つのグループに分けることができそうです。
票数集計と比較してみましょう。桜庭・時雨沢・西尾・桜坂・成田の♥印付きの5人は、順序が少々入れかわっているだけで、票数集計でも得点数集計でも上位5位になっています。
これに続く渡瀬・川上・谷川・竹宮・浅井・橋本の6人もまた、同じように1つの小グループを形成し、票数・得点数の6位〜11位を占めています。
桜庭・時雨沢・西尾・桜坂・成田の5人は、投票者内順位(ある投票者が投票するシリーズを選んだときの順位)が高く、極めて強い支持を得ている、と予想することもできるかもしれません。

上位五人の五傑衆

票数でも得点数でも上位五人♥五傑衆。その中の順位の入れ替りを見てみましょう。桜庭一樹が圧倒的な得点1位を獲得したほか、西尾維新 票4位→得点3位、桜坂洋 票5位→得点4位と、順位をあげています。
西尾維新は投票者内順位が高いことが本文でも言及されていますが、桜庭・桜坂の二人も投票者内順位が高いんじゃないか、と予想できます。
この五傑衆、広い支持で定番の時雨沢・成田、シリーズ完結大人気の西尾、色の異なる多数の作品でブレイクの桜庭・桜坂という位置付けでしょうか。

次回予告

次回は、このラノ値の意味は? 書評人と普通人ってどう違うの? をテーマに、「このラノ値 = 得点数/票数」での順位を見ていきたいと思います。