交換殺人には向かない夜

yomimaru2006-02-15

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今月今夜のこの雪を、きっと血の色で染めてみせよう。密やかに実行されるべき交換殺人の端緒を掴んだのは、意外な人物――本格ミステリベスト10(原書房) *2で国内第6位、企みと驚きの傑作本格推理。
探偵の鵜飼視点の章、その見習の戸村視点の章、志木刑事視点の章と順繰りに現れているところは、犬はどこだ(米澤穂信) *3などでもお馴染の構成ですが、どの章も男女の組合せが基本となっていてサービス満点。3つの筋が豪快に収束する結末も見事です。
台詞回しや登場人物の仕草が大仰で、舞台演劇を見ているような感覚に囚われます。そういえば、本格ミステリが得意とする密室殺人とか絶海の孤島とか雪山の山荘って、どれも三一致(時・場所・筋の一致)の演劇的な要素がありますね。
アニメ・まんがテイストよりも演劇テイストが好きな方にお勧め。この作品、烏賊川市シリーズの第4作とのことなので、前作も読んでみよう。