沼地のある森を抜けて

yomimaru2006-02-17

bk1
著:梨木香歩 画:牛島孝 新潮社*1

亡くなった叔母から受け継いたぬか床から出てくる呻き声、卵、そしてヒトのようなモノ。子供の姿をとるそれをめぐり、私は幼馴染みのフリオと――命のものがたり。
当初は、生まれたモノとの触れ合いと子供の頃のトラウマが幻想的な色調で描かれているんですが、話が進むにつれ、菌糸に発酵、細胞といった生物学系SFの様相を呈してきます。ソラリスの陽のもとに(レム) *2を、ボルトとナットの科学技術じゃなくて、バイオ+博物学南方熊楠*3的科学で料理した感じ。
「僕とフリオと校庭で」というとポールサイモン*4よりも諸星大二郎*5を思い出す私は、ちょっと毒のある第一話「フリオのために」が一番好みでした。この話は、赤いガラスの宮殿(小川未明)*6立原えりかが好きな方にお勧め。

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