七つの黒い夢

yomimaru2006-02-28

bk1

小説新潮掲載作を中心にしたダーク・ファンタジー7篇のアンソロジー
私の息子が描く絵の不思議な力とは――「この子の絵は未完成」(乙一)には、ウルトラマンに出てくる二次元怪獣ガヴァドンを思い出したり。普通・常識に拘る《私》の姿がちょっとダークです。
朝まで眠りたくないという彼女との「百物語」(北村薫)、ライトノベルなら冒頭一行で殺されたことが報道されるだけの一般人Aを主人公にした感じのホラー短篇。
このほか、バイトでウィザード(椎野美由貴)の短篇*2と共通する郷愁の「赤い毬」(恩田陸)、ダークな神様家族(桑島由一) *3+バタフライ効果の「天使のレシート」(誉田哲也)、後期クイーン問題かな? の「桟敷がたり」(西澤保彦)、お姉様と僕の官能の寝物語の回想「哭く姉と嘲う弟」(岩井志麻子)とバラエティ豊か。
そして、ジンジャー炭酸紅茶を愛飲する坂崎嘉穂の日常ミステリー「10月はSPAMで満ちている」(桜坂洋)。小説新潮に掲載されてから半年足らずの文庫登場にも驚きましたが、読み返してみると、しっくり新潮文庫テーストに感じられることの方のが驚きでした。
税込420円とコストパフォーマンスも良いアンソロジー。お勧め。
桜坂洋応援特設ページ
10月はSPAMで満ちている感想リンク集

><