永遠の旅行者上・下

著:橘玲画:ゴトウヒロシ幻冬社 *1 *2

滞在日数を調整してどの国にも税金を払わない《永遠の旅行者》生活を続ける恭一のもとに、20億の資産を孫娘まゆに税金を払わずに相続させたいとの依頼が。自宅に籠城して外部との接触を拒むまゆに恭一は――送金蓄財蘊蓄サスペンス。
まゆと恭一の関係、当初はペーパームーンにおやすみ(川原由美子) *3の印象だったんですが、読み進めていくうちに、キャラ配置がルパン三世カリオストロの城(宮崎駿) *4ほとんど同じであることに気付きました。まゆはクラリス、恭一はルパン、彼とつかず離れずのかつての同僚弁護士智子は不二子、という感じ。
悪党がまゆの後見人になろうと暗躍する中で、彼女とその父、祖父の隠された過去が暴かれていくサスペンス展開と合間合間に挟み込まれた金の動きや税金の蘊蓄クイズ的展開とがうまく絡み合って、これでもかの物量で攻めるような不思議な魅力を醸し出しています。
白昼の死角(高木彬光) *5が好きな人には是非お勧め。