青空の卵/仔羊の巣

yomimaru2006-06-26

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自称ひきこもりの友人 鳥井を見守るために、時間が自由になる保険外交員になった僕 坂木は、彼の鋭い観察眼に驚かされる――名探偵はひきこもりシリーズ。
鳥井と坂木がとんでもなく強い共依存関係になっていて、坂木が鳥井の面倒を見ている限りひきこもりからは脱脚できないんじゃ? 心の奥底では鳥井が外に出るのを坂木は望んでいないんじゃ? などと考えてしまいます。突然人格が捨てられた仔犬モードに切り替わる鳥井の作戦はずるすぎ。
連作短篇当初では、二人の世界と他人の世界の分断が明確でしたが、謎が解決するごとに良い人認定された事件関係者が二人の世界にどんどんと入り込んでくる構成。「べったり身内」と「無関係の他人」の二値で人が分離されるところが、鳥井の世界認識にぴったり当て嵌っています。
全然違うはずなのに、坂木には、どこか 上手なミステリの書き方教えます(浦賀和宏) *3に似た居心地の悪さを感じます。彼の心の奥底のどろどろは、果たして明かされるのか? 次巻*4文庫化が待ち遠しい。

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