天皇の刺客

yomimaru2006-07-07

bk1
著:高橋直樹 画:並木恒延 文藝春秋*1

三ノ姫が宿した頼朝の子 千鶴を殺害させた平家方豪族 祐親は、甥 祐経との対立で息子 祐泰を殺され、平家の凋落とともに孫 十郎と五郎を遺して「自害」。仇討ちを画策する十郎らの真の狙いは――黒幕は誰?の歴史長篇
歴史物の楽しみの一つに、ある程度の骨格が定まった世界観の中で、登場するキャラクターの性格付けや動機に異なる意味を与えることで、同じ(似た)事件の異なる様相が見えてくるかのように思わえるところがあります。もちろん、柳生一族の陰謀*2のように、別世界の日本史で終わるものもあるわけですけど。
読みつけていない人にはどれも同じに見えるらしい現代学園異能モノが、何作も読んでみることで《差異》を楽しめるようになるのと同じかもしれません。
曾我兄弟のエピソード自体は、忠臣蔵とは何か(丸谷才一) *3で言及されているのを知っているぐらいで、五郎の烏帽子親である北条時政黒幕説*4なども知らなかったんですが、本作を読了して人間関係の大枠がわかったので、これから他の話を読むのが楽しくなりそうです。

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