これは王国のかぎ
失恋の痛手からアラビアンナイトの世界に飛び込んだあたしは、魔神族を装ってハールーンと一緒に旅をすることに――産経児童出版文化賞受賞作。
樹上のゆりかご(荻原規子) *2に連なる冒険譚ということなんですが、樹上〜でのヒロイン上田ひろみがこういう失恋を経ているとは思いもよらなかったので新鮮。樹上〜に合わせてカバーが変わったみたいで、ティーンズ文庫な雰囲気ですね。
失恋で物語世界に逃避する、というモチーフは共通するものの、ひろみはひろみとしてきちんと自分を自覚して記憶も連続しているところは、シンデレラ迷宮(氷室冴子) *3的な謎解きとはちょっと違います。
どこか間抜けな王族たちの振舞いに、不思議の国の千一夜 ― ヘンデク★アトラタン物語(曽祢まさこ) *4 *5を読み返したくなりました。
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