あしたびより I

yomimaru2006-08-02

bk1
著:雨森麻杜 画:下北澤鈴成 HJ文庫*1

日付が変わると記憶がリセットされてしまうルシアは、生まれと育ちを隠しながら学ぶイルクとの出会いを経て、明日を探すように――儚い恋の物語。
博士の愛した数式(小川洋子) *2、透明な一日(北川歩実) *3秋桜の空に(竹井10日) *4のような前方性健忘者の話だと、本人は全部忘れちゃうので周りの方が心が痛いのですが、本作の場合、本人は《忘れる辛さ》の記憶は蓄積されていく模様。
ルシアの日記でその不安が明かされるところを含め、彼女の設定は、どちらかといえばアルジャーノンに花束を(キイス) *5に似た方向性。
変わりばえのしない毎日を送るという点では、記憶がリセットされることも、狭い世界で同じ作業の繰り返しというメイドの仕事も、どちらも似たようなものなのかもしれません。

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