アインシュタイン・ゲーム

yomimaru2006-09-02

bk1

来日中のアインシュタインが遭遇した奇妙な変死事件。彼の日記に残された「あれは自殺ではない」の一言が新たな事件を引き起こす――物理蘊蓄ミステリ。
相対性理論とか、ビッグバンとか、シュバルツシルト半径とか、ブラックホールとかの講談社ブルーバックス的な用語が黒死館殺人事件(小栗虫太郎) *2のペダントリー衒学的にちりばめられています。
もっとも日常世界でこういう台詞が山のように出てくると、うさん臭さが丸出しで、通信販売グッズの売り文句っぽいところに、SFガジェットに付着した《手垢》を感じました。
登場人物全員が奇矯な人物だったし、相対性理論で瞬間移動なので、タイムスリップ森鴎外(鯨統一郎) *3のように、変人の一人としてアインシュタイン本人も出るんじゃないかな、と期待してたんですが、猿丸幻視行(井沢元彦) *4における人麻呂的な扱いでした。

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