ゆれる

yomimaru2006-09-11

bk1
著:西川美和 写:日下将樹 ポプラ社*1

家を飛び出て自らの力で立つ弟と実家に残り稼業を継ぐ兄の関係は、吊り橋で起きた幼馴染みの落下事故をきっかけに大きくゆれ始め――兄弟の葛藤を描く映画のノベライズ。
稔-猛の兄弟と、その父親の代の勇-修の兄弟が、いずれも似た経緯を経て一方が田舎を出て実家と没交渉になり、他方が実家を継ぎ、――と、女性関係も含め、綺麗な対照関係になっているところが、ちょっと神話的な構造。これが、事件の真相の重要な伏線にもなっていて驚き。
兄弟の確執って、ちょっと身につまされるところがあります。非モテの兄 稔とイケメンの弟 猛に対する幼馴染 智恵子の心の底を流れる感情は、実にシビア。
小説版は登場人物それぞれが事件の経過を順次語る形式ですが、映画は全部猛が語る形式らしい。映画の方も見てみようかな。

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