樹霊

yomimaru2006-10-04

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アイヌの神の森で数十メートル移動した巨木を観察に向かった植物写真家 猫田夏海は、開発反対派の議員失踪事件で足止めをくらい、街路樹のナナカマドが移動する怪事に出会うが――トリック乱れ打ちの本格ミステリ
どう見ても負けのテーマパーク建設公共事業に向かわざるを得ない土木関係者、アイヌ自治区を目指す議員、環境保護派のヒステリック系弁護士と、生々しい登場人物が、アイヌを守る巨樹の美しい伝説とまだら模様に混じり合っていて、村の今後を予感させます。
八つ墓村(横溝正史) *2占星術殺人事件(島田荘司) *3のようなおどろおどろしい挿話がベースにあるのと、巨木による救済神話を下敷きにするのとで、同じ殺人事件でも、受ける印象が陰惨になったり、あっさり感じられたりと、かなり違います。これは新しい発見でした。

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