五分前の彼女と五秒後の彼
ぼくの前にはもう一人のぼくがいる。5秒未来の薄青の自分を忠実になぞるぼくは、5分おきに席を替える委員長 秋月有里の秘密に気付いた。こうして出会った僕達は、一体いつの僕たちなんだろう――時をかける少女(筒井康隆) *2 (細田守) *3に捧げるオマージュ短篇、待望の新作。
単なるドジでも委員長でもないメガネっ娘 有里の、鉄壁のストンピングの威力に、何でも見通す僕らの変態 小野寺の光る一言が印象的。
作者過去作*4 *5とは違った新しい視点から時間跳躍モノに挑戦した本作は、原作の基調である男二人女一人の三角関係を解釈し直したキャラ配置、筒井版・細田版の真相 を別の視点からなぞる結末で、時をかける少女への強い愛を感じさせます*6。
各種企画には登場していましたが、作者の小説業界での発表は1年ぶり。先・前・後といった時にまつわる言葉の曖昧さがラストで一気に収束し、時間ネタに成長と謎解きをからめてぎゅぎゅっと濃縮したオチには、雌伏の1年の甲斐がありました。
待ちに待った新作は、爽やかなラベンダー色の夜明けの空がよく似合う。今後の雄飛に期待しつつのお薦めです。
→ 感想リンク集
*1:ASIN:B000JLSUEI ac amazon bm mm
*2:ISBN:4041305217 bk1 junku rak ac amazon bm mm
*3:http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/index.php?cnts=story
*4:ISBN:4086302195 bk1 junku rak ac amazon bm mm
*5:ISBN:4086302047 bk1 junku rak ac amazon bm mm
*6:http://blog.japan.cnet.com/geetstate/a/2006/10/post_5.html