気分は名探偵

yomimaru2006-11-09

bk1

路上の密室、閉ざされた貸別荘、使われなかった凶器、失踪する新幹線、離島の惨劇、同名の容疑者……夕刊紙に懸賞付きで掲載された犯人当てミステリー短篇集。
貫井「蝶番の問題」と我孫子「漂流者」は両方とも事件の遭遇者が書いた日記が素材。犯人当てで日記だと、分類のどれに当たるかを考えながら読むことになるんですが、このような状況で、第三者に読んでもらうことをあまり意識せずに日記を書いているところが、パズルっぽさを感じます。
麻耶「二つの凶器」と法月「ヒュドラ第十の首」は犯人がとった不自然な行動の理由を解くところから結論を導き、有栖川「ガラスの檻の殺人」に霧舎「十五分間の出来事」は、地の文のちょっとした描写が鍵になっています。
短篇推理でありがちな皮肉な結末や教訓めいた結辞の雰囲気があまりないところが犯人当て縛りの特性なのかな、と思います。

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