探偵は今夜も憂鬱

yomimaru2006-11-25

bk1
著:樋口有介 画:最上佐知子 創元推理文庫*1

美女に会うと振り回して欲しいと仄めかしてしまう調査屋 草平には、何故か失踪者の謎を解いて欲しいとの依頼が集まって――雨・風・光の三篇収録の38歳の青春私立探偵シリーズ第三弾。
恋愛ゲームのDQN系主人公って同世代の女性を対象にするような印象があるんですが、草平がついつい軽口をたたいてしまう初対面の美女の年齢層は二十台前半から年上まで、連続してかなり幅広い感じ。ただ、文章から伝わる女性は、「見た目だけの美女」ではなくて、「できる女」「これからできるようになる女」。
世の中を不器用に渡りつつある若目の女性は生き残って新たな世界へ旅立ち、器用に(ずる)賢く生きてきた女性は何故か被害者になって死んでしまう、というところに、無常を感じます。今巻では、「女優」じゃなくて役者の卵 美希との鰻屋での会食シーンが心にしみいりました。将を射んと欲すればまず腹を射よ。
次巻では、別居中のこまっしゃくれた娘 加奈子のきつい一言に期待。

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