メリーゴーランド

yomimaru2006-12-16

bk1
著:荻原浩 写:広瀬達郎 新潮文庫*1

Uターンして気楽な地方公務員になったはずの啓一は、市長の肝煎で始められた超赤字のテーマパークの再建を任されることに――思わぬ現場に踏ん張るオトナ小説
ガンで余命僅かな役人が公園を作ろうと頑張る感動巨篇 生きる(黒澤明) *2とか、やる気まんまんの役人がスーパーの再建を目指す 県庁の星(桂望実) *3とかとは違って、どこか力の抜けたところがあります。
現役暴走族の大工、劇場に断わられる小劇団、企画が通らない企画屋、といった面々は出てくるんですが、フル・モンティ(ピーター・カッタネオ) *4のような駄目な奴らが一発逆転を狙って集まる、という感じではなく、やってるうちに楽しくなっちゃったスーパーの女(伊丹十三) *5っぽい流され方。
一つの理由は、過労死続出の職場を辞職しての再出発のせいもあって、啓一が自らの境遇を「逆境」と思っていないからかも。確かに、動くことを強制される民間と動こうとしない役場や理事会では、障害物の方向性は逆ですね。
読んでいて、ウィンザーホテル洞爺の再建の話*6を思い出しました。かつてのNHKドキュメント放映時の結末に似たほろ苦さの星空が綺麗。

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