モンスターフルーツの熟れる時

yomimaru2007-02-01

bk1

自由奔放に性の不夜城を築く「君江」、美のスーパースリム集団を導く「友子」、住民の不安と憎悪を煽る「千原」、幼馴染みとの約束を忘れた「わたし」――わたしをめぐる4篇連作、退廃の猿楽町サーガ。
「千原」「わたし」の2篇は、ちょうど魔王(伊坂幸太郎) *2の2篇を裏返したような感じ。リアルに嘘っぽい権謀術数がたまりません。
「君江」では、不細工な子に好きだと言われ、知人であることが恥ずかしくて彼女を嫌ってしまうあたりの男の暗い心情がネチネチ。
幻想的な「友子」は、究極の美の正体が明かされるシーンが、ホタル闇歌(赤江瀑) *3のようなおぞましき耽美。
高級住宅街と風俗街の狭間、という猿楽町の舞台設定が、淫靡な雰囲気に良く合っています。
もし図書館で借りるなら、命知らずの本読みが数々登場する小説伝(小林恭二) *4 *5と一緒にどうぞ。

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