わすれなぐさ

yomimaru2007-03-14

bk1

大正末期の女学校を舞台に、ブルジョアお嬢様 陽子と冷血なロボット模範生 一枝の間で揺れる個人主義者 牧子。三人の友情の行方は――乙女の夢、憧れ、誇りを謳い上げる大正浪漫乙女小説
クララ白書(氷室冴子) *2 *3のしーのの愛読書にしてエスの世界ぞここに、の吉屋信子。のはずなんですが、今読み返してみると、普通にちょっと仲の良い女友達といった感じです。ここから今日的な《百合》を読み取るのは、男同士の友情物語を腐女子変換するのと同じ能力がいるような感じ。
嶽本野ばらによる充実した註釈はお薦め。吉屋信子を咀嚼し消化し過去のものにし切った語り口で、雰囲気は本文とミスマッチなんですが、共通して根底に流れる《乙女》を今どう感じ取れば良いのか、大正の風俗を今どうとらえれば良いのか、のガイドになっています。

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