酸素は鏡に映らない

yomimaru2007-04-11

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特撮ヒーローの役者として名を馳せたもののその後泣かず飛ばずの守雄は、健輔をバイクでひきかけたことがきっかけで、奇妙な男オキシジェンの言葉のままにゴーシュの秘宝を探すことになるが――世界の支配者になるためのサスペンス。
普段子供向けを読者に想定していない作家がこういう「子供向け企画」の作品を書くと、妙に大人目線だったり、子供に媚びたような文体になることがあります。
一方本作の文章はといえば、淡々と綴られる地の文も、各種の引用も、いつも通りの作者の文体。子供の読者に対する作者の《対等》な語り口は、健輔とオキシジェンの《対等》な会話と同型になっている感じで、講談社ノベルス電撃文庫ブギーポップシリーズ*2の外伝として出版されてもおかしくない、という表現にほっとします。
守男が演じた「無限戦士ゼロサンダー」のストーリーが劇中劇として挿入されているんですが、これが実は衝撃的な伏線に。統和機構好きなら必読の一冊。

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