ギートステイト

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著:東浩紀桜坂洋 画:和田タカアキ 講談社MouRa*1

完璧メイドロボがまだ実現されていない2045年、ケアハウスで老人と気さくに話すアルバイトの史帆は、入居者小野寺の孫 笑男と子供の頃に拾った子バトの事を思い出し――セキュリティ危機も何のそのの未来学エンターテインメント、5thターン始動。
作者の雑記同様、途中登場の義妹婚約者クワサン・オリビーが主人公とひっつく 重戦機エルガイム*2の展開は許せない、寝返り女ガウ・ハ・レッシィ派の私です。
なぜ許せないのか考え直してみると、クワサン・オリビーの姿勢には、不断の努力をしない(忘れた頃に後から出てくる)旧勢力が 新興勢力(新たに築かれた関係)に対して 既得権(前世や過去の因縁)を主張するエゴ、と同じにおいを感じるからなのかもしれません。
中学時代のキョンの親友 佐々木がハルヒの座をおびやかすライバルになる 涼宮ハルヒの分裂(谷川流) *3のような設定では、田舎から追い掛けてきた幼馴染みキャラが掻き回した挙句にフられる咬ませ犬パターンが常套手段で、旧勢力の敗北に終わるのが定石。
一方、綾波とシンジの関係に途中からアスカが割り込む 新世紀エヴァンゲリオン*4では、シンジ母のクローン綾波が旧勢力、アスカが新興勢力だからこそ、シンジとアスカがああいう関係になっても、大きな違和感は感じないんでしょう。
こう考えてみると、途中出場の君島フランツィスカ史帆とメインキャラ小野寺笑男の関係を、「子供の頃の友達だけど、彼の顔が思い出せないことにちょっと胸が痛くなる」微かな繋がりにしたのは、絶妙の匙加減。今後の展開では、二人の物語を史帆タグ笑男タグで再構成して読んだときにあらわになる、切ないすれ違いに期待したいところ。
ブログ連載なのに、週刊マンガ誌の発売日や深夜アニメの放送日が待ち遠しいのと同じドキドキ感がある本作は、アンテナ登録推奨のお薦めです。

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