百万のマルコ

yomimaru2007-06-03

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著:柳広司 画:坪内好子 創元推理文庫*1

身代金のあてがないためにジェノバの牢に留められた囚人達は、新入りマルコの不思議な謎掛けに知恵を絞り、一時の開放感を覚えるのだが――とんち勝負の掌篇ミステリ集。
嘘八百とか三百代言とかの「百」に相当するのがイタリア語の「百万」とのことで、東方見聞録(訳:愛宕松男) *2 *3マルコ・ポーロが語るファンタジー13篇。
とはいいつつも、登場人物のマルコが提示する謎解きのネタは、本人が「嘘は言っていない」というだけあってフェア。頭の体操(多湖輝) *4に近いロジックの世界、あるいは、一休(武者小路実篤) *5的な頓知の世界が広がります。
ミステリーには、愚かな助手の的の外れた推論がないと引き締まらないところがありますが、本作でその大役を果たすのは、異境や異教徒に対する偏見丸出しで強欲な僧侶ヴェロッキオ。凝りないおっちょこちょいがやり込められる展開って、やっぱり必須。

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