銀色の愛ふたたび

ロボットと人間の恋を描いた「ジェーンの本」に憧れる貧乏な娘ローレンは、新装発売されたヴァーリスに心を奪われるが、彼の過去の記憶が気にかかり――銀色の恋人(タニス・リー) *2の四半世紀ぶりの続篇。
本シリーズを読んでいると、同じく女の子とロボットの恋を描くアイドルマスター XENOGLOSSIA*3と比べたくなってしまいます。
前作のジェーンとシルバーが貴族の娘と吟遊詩人の悲しくも美しい一時の恋、本作のローレンとヴァーリスが記憶をなくした貴種と貧乏人の娘の身分違いの恋とするならば、XENOGLOSSIAは、都会の年上女から田舎の年下女に乗り換えたカメラ小憎の恋とでもいいましょうか。
銀色シリーズでは、二人の恋の成立そのものに障害が立ちはだかるのに対して、XENOGLOSSIAは、二人が恋に落ちるのには何の障害もなく、むしろ、彼の過去の女の写真が出てきて三角関係に悩んだりとか、彼に相応しい女になるべく部活に励んだら励みすぎて彼と疎遠になっちゃったとか、そういう身近な恋の障害がテーマになっています。
恋愛そのものが成立するか否かを焦点に据えるからこそ、シルバーやヴァーリスは、ロボットであること以外は非の打ち所のない美青年なわけですが、恋愛が成立しうることが前提のXENOGLOSSIAは、武骨で不器用、寡黙な流星破壊ロボットが「彼」なんです。ちょー美女と野獣(野梨原花南) *4のように、彼女は異形の彼がそのまま好きなんです。
日米のロボット観の差の大きさに長嘆息。お薦め。

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