時載りリンネ! 1 はじまりの本

本を読むだけで血肉になる《時載り》と普通の人間のハーフのリンネは、本よりテレビや冒険が大好きな痩せぎす金髪美少女で、幼馴染みの僕はいつも世話役にまわり――時を超える文字が時を止め時を砕く読書アクション、第11回スニーカー大賞奨励賞受賞作。
R.O.D(倉田英之) *2や戒書封殺記(十月ユウ) *3は、本読み本好きの主人公が戦う話なんですが、本作は、本読みの体質に生まれつつも、さほど本が好きじゃない女の子が、いやいやながら(ここがポイント!)本を読んでパワーを貯め、勝負に挑む設定は斬新。ビブリオマニアが本そのものを武器に使って本を駄目にしてしまうのには、かなり抵抗がある私ですが、この設定ならOKです。もっともリンネは、本を大切にする方ですが。
本喰いの女の子リンネを見守る幼馴染みの僕が、彼女のためにこの夏の冒険を小説の形に綴る、という形式で、自然に、本読みの女の子と本書きの男の子の幸せな関係が築かれるところも好み。文学少女シリーズ(野村美月) *4の甘いお菓子のような本が好きな遠子とは違い、リンネが手に取るのは妙に歯応えがある本ばかりで、言い回しもどこか年寄臭いところがアンバランスな魅力を醸し出しています。
はてしない物語(ミヒャエル・エンデ) *5 *6とは逆向きの、本を崇めない本読みシリーズ。お薦め。

><