ミステリクロノ

著:久住四季 画:甘塩コメコ 電撃文庫*1

ピンクの髪の毛で泣く少女 真里亜を拾った遥海慧は、時間を巻き戻す注射器型の道具を目にして――夢から醒めた天使ミステリ。
天界で失敗した天使が試練を受けるために地上にやってくる二級天使(石森章太郎) *2モノでは、封仙娘々シリーズ(ろくごまるに) *3のように、墜落した天使役は天真爛漫、元気いっぱいで少しおっちょこちょい、というのが定石なんですが、本作の天使である真里亜の泣き続ける姿は新鮮。永遠を生きる者が有限の命に縛られたときの違和感が、そこかしこで描写されます。
謎解きは悪魔のミカタ 魔法カメラ(うえお久光) *4に似た感じ。もっとも、ミステリ研部分は、《みーくる》がかなり色恋に溢れかえっているのに対して、本作は、達観しているというか枯れているというか興味がないというか余裕ありすぎというか、で、恋愛成分は超薄め。どことなく気怠い雰囲気も、有閑倶楽部(一条ゆかり) *5に似ています。
悪魔のミカタのように、道具そのものの特性を使った謎解き(ひっかけ)もいいんですが、続巻では、人間界の常識や言葉遣いを良く知らない真里亜が 陰摩羅鬼の瑕(京極夏彦) *6的な役割を果たすトリック、なんてのを読んでみたい。期待してます。

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