レジンキャストミルク 8

殊子を犠牲にして芹菜と良司を救出した晶は、最後の戦いを前にして、虚軸を持つ協力者の女の子全員を犠牲にしても勝つ決心をするが――腹のくくり方が甘過ぎて後悔する男の見本市、シリーズ完結篇。
大いなる野望実現のために味方達を「使う」決心をする晶の姿勢は、たとえば新本格魔法少女りすか(西尾維新) *2における創貴に共通するんですが、二人とも、それを徹底できない弱さがあります。創貴の弱さは、成長した姿のりすか、かつての母親のきずな、といった大人の女が埋めて、彼の成長を促してくれる感じなんですが、晶はといえば、彼よりも精神的に幼い硝子で、たぶんこのまま二人とも完成しちゃうのが、やり切れないところ。
そのためか、晶は、最後の最後で責任を負わない態度をとってしまって、しかもそれが裏目に出るパターンが、このシリーズでは頻出していました。
本作のダークさは、「身の程を知らなかった自分」とか「決定的な場面で逃げた自分」とか「無力に安住して酔っている自分」とか、そういう自分の中のイタさ弱さを、読者に思い出させるところにあるのかも知れません。

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