正義のミカタ〜I'm a loser〜

著:本多孝好 写:Dave Greenwood/gettyimages 双葉社*1

いじめられっ子を脱脚して大学デビューを果たそうとした亮太は、その経験で得た体術をかわれて正義の味方研究部に誘われるが――《学歴による格差社会》が舞台の青春小説。
本作の「正義の味方研究部」の伝説、殊にかつてのボクシング部員レイプ事件をめぐる部の誕生秘話の熱さは、真逆の題名を持つシリーズ、悪魔のミカタ(うえお久光) *2に登場するお助け集団「み〜くる」に類似するものがあります。次第に明らかになる2つのサークルの差異は、部長の根本的な姿勢。
学内で広がるねずみ講を彩る学歴格差って、近年話題になっている格差問題とはちょっとずれているような気もしますが、ギートステイト(東浩紀桜坂洋) *3でも登場する「格差を気付かせない壁」が、まさにこの「大学」で、「壁を乗り越えて格差に気付くとき」が「就職活動」に対応するのかも。
かっこ悪い主人公がかっこ悪いままでする決心は、じわじわと燃える熾火のような熱さ。お薦め。

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