大江戸妖怪かわら版 異界から落ち来る者あり

著:香月日輪 画:橋賢亀 理論社*1 *2

妖怪が暮らす魔都 大江戸に落ち、かわら版屋の記者をつとめる少年 雀は、実は唯一の人間で――異界は現代日本か江戸時代の日本か、落ち来るのは男の子か女の子かファンタジー
十二国記(小野不由美) *3 *4シリーズでは獣人の住む中華風世界に現代日本から人が落ちますが、本作は、深川のキャフェーでソォダを呑んだりと、妖怪の住む江戸+明治+大正混ぜこぜ世界に現代日本から人が落ちた感じ。
ハイジ*5焼きチーズラピュタ*6目玉焼パンもそうですが、ごくごく身近なもの、単純素朴な食事が実に旨そうに登場するのが嬉しい。炊き立て飯に生卵、大根の味噌汁に胡瓜の糠漬、おまけで目刺し、これがうさ屋定食(イ)。
男も女もそれ以外もいっぱいいて異種でも同性でも子供ができちゃう大江戸では、性のタブーも何にもない。異形の者ばかりがそれなりに自由に暮らす江戸の街の雰囲気は、吉原御免状(隆慶一郎) *7における自由民の街 吉原に通じるものがあります。違いは違いでそれでいい、同調圧力のなさ加減がそう思わせるのかもしれません。

><