魍魎の都 姫様、出番ですよ

黒い猫又 綾に憑かれた鄙帰りの姫 諾子は、60日おきの徹夜の宴 宵庚申の連続怪死事件に巻き込まれ、橘則光の警護を受けることになるが――美丈夫に囲まれるじゃじゃ馬姫の、のほほん平安恋絵巻。
なんて素敵にジャパネスク(氷室冴子) *2も型破りな姫 瑠璃が外出しまくる平安アクション(?)ですが、諾子と瑠璃の共通点は、田舎から都へ帰ってきた《異人》であること。平安貴族社会における《姫》のあり方を、客観的・批判的に見る視点が自然に導入されることで、今現在の男女間、恋愛観との親和性を増し共感を呼ぶ効果があるのでしょう。
一見、状況を掻き回すだけ掻き回すのに解決には役に立たない姫を、美男子たちが囲む逆ハーレム構図に見えますが、諾子と則光の仲は喧嘩するほど〜で、確定的。漢文好き歌が下手(?)大学寮に入れないのが悔しい諾子と学問一家の中で勉強嫌いの剣術好きの則光の組み合わせは、番長と委員長の黄金カップル。周りの男達は、良き哉良き哉と二人を眺める保護者の立場といえそう。
女物の袿を着ておネエ言葉で喋る碓井貞通のお気楽極楽軽薄な明るさが結構好み。次巻では、彼のシリアス話が出てくるということで、楽しみです。

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