片翼の瞳 (1)(2)(3)

兄 聖への思いを断ち切るため、合コンで知り合った和希と体を重ねる瞳だが、絢音と付き合い始めた聖を問い詰めてしまい――禁断の近親ラブストーリー。
のべるのぶろぐのライトノベル認定から外れた*4魔法のiらんど文庫から発行の本作ですが、横書で纏められた体裁のせいだけでなく、劇的な物語の展開にも、2ちゃんねるの近親スレのまとめサイトのような印象を受けました。読者からの反応が直に作者に伝わる、という点で共通性があるのかも。
瞳の友人マナの、教育実習生に一目惚れ展開は、もしかしたら『恋する女たち』(氷室冴子) *5の婚前旅行に誘われて悩む優等生 汀子以来のような気がします。時代は大きく違うんですが、迷う女の子の心には相通じるものが。
本作で一番衝撃的だったのが、学校に向かう途中で、とあるショックが原因で泣き出してしまった瞳と、彼女を慰める友人マナの会話。

    「瞳ってば、化粧ぐちゃぐちゃだしっ(笑)」
    「マナもね! まつ毛取れてるよっ」

小説でこういうヒロイン像に出会うのはたぶん初めてで、でも駅前のビル内を濶歩する女の子を見れば、確かにそういう娘もいるわけで。『片翼だけの天使』(生島治郎) *6を読んだときと同じく、それまで見過ごしていたことに気付かされました。王道エピソードが盛沢山の展開の中でそこかしこに見える新しい世界に、新鮮さを感じながらの3冊でした。

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