闇の守り人

著:上橋菜穂子 画:中川悠京 新潮文庫*1

養父ジグロの汚名を晴らすべく故郷に戻った女用心棒バルサは、洞窟内で《闇の守り人》に襲われた少年カッサと彼の妹ジナを助けるが――義父のまなざしの奥底を探る魂のファンタジー第2弾。
親友カルナの依頼で彼の娘バルサをともなって放浪の旅を続けることとなり、国本からは反逆者として追われる身となったジグロ。既に亡くなっているジグロですが、本作の裏の主人公はまさに彼。二人の弟子の一方の指導に失敗し、他方の指導に成功した、という点で、スターウォーズ*2のケノービと立場は似ているんですが、ジェダイとして悟り切った《冷たさ》を持つケノービに対して、ジグロは生の感情を抱えたまま。
友情のため、信義のためといいつつも、時として、後悔したり、恨んだり、八つ当たりしたくなったり、聖人ではない生身のジグロの姿が印象的です。
ルークに倒されることでアナキンは救われるわけですが、アナキンに相当するユグロは、ジグロの弟の槍使い。バルサとの最終対決で救われるのは果たして誰なのか、が見処の一つ。力はあるのに周りが認めてくれない、アナキンと同じ悩みを持つ少年カッサの変化にも注目したいお薦め。

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