はじまりの空

著:楡井亜木子 デ:松岡史恵 ピュアフル文庫*1

姉の結婚相手の兄 蓮(34)が気になる私 真菜(17)は、彼が勤める画廊の女主人 伽歩子に彼の結婚未遂の顛末を聞かされて――男の子と付き合うことと身を焦がす恋との違いに揺れる年の差恋愛譚。
言ってしまえば全員平和で自分も楽になれるはずなのに何故ここで言えないのか、それを年齢差や生活の差に還元しているところは、『雪の断章』(佐々木丸美) *2にも似て、納得の展開。キャラ配置も、真菜・蓮は伊織・雄一、真菜と交際中の同級生 真治は大介、と、似通っています。
違うところは、当て馬役の真治と大介の年齢差。『雪の〜』の大介が鷹揚な大人であるのに対して、本作の真治は、自分の力のなさに心震わす少年であるところが見処かも。真菜の心が見た真治の姿の容赦なさが素敵です。
何人かの男の子と付き合ってきながらも《恋》がわからなかった彼女が蓮と出会って変貌する様を描いた本作は、《恋》がわからないまま何人もの女の子と関係を持ち続ける『ROOM NO.1301』(新井輝) *3とは対照的。女の子は男の子に比べてやっぱり大人と実感したい方にお薦め。

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