パークチルドレン

著:石野文香 画:堀川友里 小学館*1

再婚した母から離れ祖父母の家に引越した水香は、居場所のない学校を離れ迷い込んだ遊園地の廃虚で、クラスメート千夏に出会い――死んだ友の願いを自らの体でかなえる第8回小学館文庫小説賞受賞作。
発行元が『絶対音感』(最相葉月) *2小学館だったこともあって、題名からは『ホームレス中学生』(田村裕) *3系の公園サバイバルストーリーを予想していたんですが、全然違いました。
舞台となる遊園地の名前がプレアデスパークであることといい、プラネタリウムが重要な鍵となることといい、おそらくは『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治) *4が重要なモチーフとなっている本作。カムパネルラのように死んでしまった千夏に彼女の願いを体を張って叶えようとする水香の女の友情篇は自己犠牲的です。
誰かを助けられなかったがために苦しむ男の子 直澄君に対しては、自分より先に死なないで欲しい、誰かを助けるために死んだりしないで欲しい、と、ごくごく当たり前の感情を抱く水香ですが、女の友情篇との対照で、普通の恋愛感情がより一層光って見えます。
自分の手から落ちて死んだ人を思う「ケシの咲く惑星」/『月子の不思議』(水樹和佳) *5とは違う、爽やかに甘い結末を読みたい方にお薦め。

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