征服娘。

富裕貴族の娘マリアは、男の添え物でしかない女の地位に飽き足らず、親友アッシャとともにドラヴィア共和国をその手にする野望を抱くが――少女が描く野望の王国ストーリー。
東大生のエリート二人が日本を手に入れんと智力の限りを尽くす『野望の王国』(雁屋哲由起賢二) *2 *3の舞台を中世風ファンタジー世界に、主人公を貴族の娘とかつての王族今は奴隷の娘の二人にしたかのような本作、暴力装置を外部に求めるところも似ています。
すぐに誰かを殺すことに発想が及んでしまうところは、何ともスペードの女王的というか残酷な少女的というか。
しかるべき者が国王に名乗りをあげないなら私が、と、決意する『図南の翼』(小野不由美) *4 *5の珠晶と、この国を手にする、という希望を抱く点では似ていますが、本作では、馬鹿な兄より私の方が当主に相応わしい、と、動機がより身近な感じ。
自分の野望の実現を信じきれず、ハードルを下げそうになってしまうマリアとアッシャが、その弱さをどう克服していくか、次巻が楽しみです。

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