ようこそ無目的室へ!

はずさない はずれない 素顔の仮面
著:在原竹広 画:玄ペンギン HJ文庫*1

元気なうっかり娘 ほづみ、童顔のメガネ理屈屋 圭助、超猫かぶり美少女 千尋、頭の良さを自認する読書家 一郎の4人は、穏やかに会話を楽しむため、今日も学校黙認の部屋に集う――華麗な謎解きもまったりした会話も、の、安楽椅子探偵日常派連作集。
ハイテンションなお気楽会話が楽しい『生徒会の一存』(葵せきな) *2、無気力系のがっちり謎解き『愚者のエンドロール』(米澤穂信) *3の、ちょうど中間に位置するような印象の本作。
高校で発生した惨殺事件の謎を追う『桜色BUMP―シンメトリーの獣』(在原竹広) *4とは異なり、日常系の謎解き。謎は比較的簡明で、かなり早い段階で「あっち系」「こっち系」はわかるんですが、話のテーマと謎解きがうまく馴染んでいて、浮いた感じのないところが身上です。
本作の印象は、最終話「影絵芝居」で激変。掲載誌「キャラの!」やレーベルのHJ文庫の匂いが一掃されて、一気に創元推理文庫の連作短篇集、いやむしろ、理論社ミステリーYA!っぽい雰囲気に。お薦め。

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