よくわかる現代魔法 1 new edition

yomimaru2008-04-25

関数型言語Haskellのプログラムが世界で初めて登場した小説

魔法を信じたい こよみと否定する聡史郎の言い合いに決着をつけるべく、現代魔法のプログラマー 美鎖は電子体重計に仕掛けたコードをこよみに実行させるが、発現したのは赤銅色の――神経細胞を電気信号が走るコンピュータ《人間》の機械論的ファンタジー
他人に迷惑をかけるのが嫌で一歩引いて生きてきた こよみが、自分の選択に決して後悔しない美鎖、好奇心の赴くまま不動の心で生きる嘉穂、派手に見えるも不断の努力の弓子の3人の《師》に導かれ、最初の一歩を踏み出す本作。その王道成長譚の根底に、「既存アルゴリズムを新たな用途に適用」するのにも似た発想の転換を感じます。
男の子が張り合って成長するのが少年漫画ならば、女の子がぶつかり合い、進み過ぎた科学が魔法と見分けがつかない*2ならば、魔法の呪文を科学技術の粋 コンピュータ上で動かし、コンピュータにヒトの意識を流し込むのがサイバーパンクならば、コンピュータの中を流れる電気信号をヒトの中に流し込み。
new editionは、旧版*3を大幅改訂して、言葉の有効成分はそのままに濃さ20パーセント増(p.320→p.271)に挑戦したLightweight版。旧版を重厚な青竜刀とするなら、新版は細身で切れ味鋭い打刀という感じでしょうか。両者読み比べれば、選ぶ言葉や使う場所をちょっと変えて、文章の印象を操作する《言葉の魔法》に気付くかも。
新版だけを読むも良し、旧版と比べながら読むも良し。絶対のお薦め!

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