彩乃ちゃんのお告げ

シャネルのヴェルニを爪に塗ってみたい11歳
著:橋本紡 画:クサナギシンペイ 講談社*1

後継者問題で混乱する教団から身を隠すため、縁もゆかりもない智佳子に預けられた教主さまは、小学生の女の子、不思議な力を持つ彩乃ちゃん――お告げがもたらすささやかな奇蹟のファンタジー
「お告げ」というからには予知能力の一種なわけですが、彩乃ちゃんが時折見せる「お告げ」には、ある種の勘の良さ、とか、推理推論能力、という感じで、超常現象の雰囲気がありません。超能力者に巡り会ってご近所の人生が混乱していく様を描く『岬一郎の抵抗』(半村良) *2 *3 *4 *5とは違って、後継者問題で混乱してはいるものの彩乃ちゃんを囲む教団の組織がかなりしっかりしているのかも。
そんな彩乃ちゃんでも、興味があるのは、夜遊びにお化粧、アクセサリー。そんな年頃の女の子らしさ、が、彼女が起こす奇蹟の重要な鍵になっている構成は、超好み。
半分の月がのぼる空』(橋本紡) *6に登場する怒りっぽい難病美少女、『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治) *7愛読者、里香が本書を読んだら、布団に隠れてたぶん泣いちゃう、そんな一冊です。

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