探偵小説のためのエチュード「水剋火」

決め台詞は、陰陽の力を!!ばばん!!(以下略)

帝都から南国実予に転校したあかねが抱く人殺しのトラウマは、美少女こもぷーの陰陽の力と超絶推理で果たして解消できるのか――坊っちゃん』(夏目漱石) *2の舞台で繰り広げられるぞなもし陰陽ミステリー。
妄想あふるる不思議ちゃん 水里あかねの語りで綴られる本作は、初読ではそのリズムに乗りそこない、何が何だか良くわからないままに読了してしまったんですが、二度三度と読み返すうちに、スルメのような味わいがじわじわと。
あかねの語りには、『DDD』(奈須きのこ) *3や『レジンキャストミルク』(藤原祐) *4などで登場する、世の中への悪意を悪者に利用されちゃう少し心が曲がったタイプの端役と共通する鬱陶しさがあるんですが、その鬱陶しさと、貧乳を馬鹿にされるとほとばしる前世の記憶とのギャップがどうにもツボにはまってしまいました。
あかねの超絶連想に対するセルフツッコミ「いったい私何歳なの」の元ネタがわかる、ちょっと(大分)年上の世代に優しい一冊。

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