追伸

postscriptを検索しても出てくるのはアドビばかり

交通事故に遭った妻 奈美子を残してギリシャ長期出張に出た山上夫婦の間で、離婚をめぐってやりとりされる手紙は、やがて彼女の祖父母が巻き込まれた殺人事件の真相に――二つの夫婦の郵便ミステリー。
実家に帰ったマッキーとしーの達の手紙だけで綴られた「往復書簡」/『アグネス白書ぱーとII』(氷室冴子) *2と同じ形式の本作ですが、題名でもある「追伸」そのものは、あまり記憶に残りませんでした。
不倫の結果前妻と離婚してから結婚に至った現在の夫婦、殺人容疑で逮捕された祖母と彼女を信じる祖父の過去の夫婦、2つの夫婦に共通するのは、妻の容姿が隔世遺伝的に美しいこと。本作の悲喜劇の遠因は、そこにあります。
本作では遺品から手紙の束が出てくることが祖父母の事件の真相につながるわけですが、安価な連絡手段が紙とペンの郵便から電子ファイルの電子メールへ変化していく今後は、どういうきっかけでこういう事情が判明することになるのか。
DVDのようなメディアに記録したとしても、「一見して中身が見えない」ために、遺族は中身を見ようともせずに廃棄しちゃうんじゃなかろうか。あるいは、読み出すためのドライブが既にないかも。紙に書くってことは、やっぱり強力。
ウェブメールで、ユーザによるアクセスが継続して100年ぐらいなかったら、そのメールを検索可能な公開対象にする、というようなサービスがあればいいのかな、なんてことを考えました。

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