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このスピード時代、百物語じゃ多過ぎる

怪奇小説を書くのが好きな五人のオフ会で、自己紹介にかえて自分が紡いだ物語を披露する面々だが、本書の目次は何故か四章仕立てで――此界と異界が交錯する怪奇短編連作集。
大昔に副読本か何かで読んだっきりのドイツ民話集では、『マクベス』(シェークスピア) *2の「バーナムの森が動かないかぎり安泰だ」のように、本来はありえない状況が発生してしまって悲劇が成就してしまう話の連作になっていた、という記憶があります。ありえない状況を掲げて神を試すと、その冒涜に神が怒ってその状況を生じさせてしまう、という展開。
その観点からすると、本作は、「神への冒涜」連作ではなくて、「好奇心は猫をも殺す」連作の感じです。
気にしてはいけないと言われるとますます気になる、という状況で、事態の原因を綺麗に解明すればSFになり、解明できないまま悲劇が訪れればホラーになる、のかもしれません。
四作の中では、悪いことをする大人を子供たちが無表情に見つめる「子供たちの町」に、いつもは目立たないブログが突然はてなブックマーク経由で注目されちゃうときにも似た《恐怖》を感じました。

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