のぼうの城

鈍くて不器用だからこそ、のポーカーフェース

領民から「でくの坊」略して「のぼう様」と呼ばれて人気の成田長親は、押し寄せる石田三成二万の軍勢から武州忍城を守り切れるのか――この人には私がいなくちゃ駄目症候群モノ。
同じく城を守る『墨攻』(酒見賢一) *2に類似する状況の本作ですが、駄目人間 長親がそういうなら仕方がないな、と笑いを含んだあきらめで領民たちが支えちゃう 彼の人気の傾向は、『泣き虫弱虫諸葛孔明』(酒見賢一) *3の玄徳に近いかも。
長親に惚れている傾城の美少女武辺者 甲斐姫、背が低いのがコンプレックスで軍略機略に目覚めた靭負、やる気があるのかないのかよくわからない長親の、全然色っぽくない三角関係も見処の一つ。
三成のために周りがするお膳立てが、『涼宮ハルヒの憂鬱』(谷川流) *4で、ハルヒのためにSOS団の面々がする気遣いに似ています。こういうお膳立てって、やっぱり、いかにバれないようにするか、がポイントなのかも。お薦め。