堕天使拷問刑

包袋に眼帯の綾波レイは残酷な天使
著:飛鳥部勝則 画:PARADISE``D'' ハヤカワ書房*1

祖父と敵対する一族の女3人が斬首され、その祖父も蔵の中で怪死、呪われた町の実家に引き取られたタクマは、《ツキモノイリ》と呼ばれて奇妙な目で見られ――月に行きたい彼女の心が見えない本格怪奇純愛推理。
呪われた血を継ぐ者が村に入ろうとして白眼視される『八つ墓村』(横溝正史) *2っぽい設定で中学1年生のタクマは気さくな先輩美人 京香と月へ行きたい不思議ちゃん 美麗の間をふらふら。タクマを挟んだ京香と美麗の立ち位置は、ちょうど、『八つ墓村』の未亡人 森美也子と影の薄いヒロイン里村典子に対応しています。
悪魔召喚に蛇に蚯蚓、村の儀式ツキモノハギ、バベルの塔を逆転させた美術館、赤い肉を食べるヒトマアマと、おどろおどろしい設定が盛沢山で、そのサービス精神に感服。作中で同級生がタクマに書いた「オススメモダンホラー」に、ブログが流行る前のテキストサイト時代の書評・感想を思い出しました。
これも解くべき《謎》だったのか、とちょっと驚くところは『月明のクロースター 〜虚飾の福音〜』(萩原麻里) *3にも似ているんですが、本作の謎と恋の絡まりには、原始的な《粘性》が感じられます。

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