お嬢様ボロもうけ

しぼった雑巾のように見事な縦ロール

縦ロールにピンクのリボン、笑い声は「オホホホホ」、誇り高き意地悪お嬢様として学園に君臨する綾小路麗華には、ビン底眼鏡にひっつめポニーテールの佐伯がいつも家来として控え――学研レモン文庫から復刊の愛にも恋にも色々あるさコメディ。
デビュー作でもある本シリーズですが、同性愛にSMに、ノーマルばかりが恋じゃない、と、現在まで綿々と続く著者の主張は、小中学生の女の子向けでも容赦なし。
十数年の時を経て初めて佐伯の下の名前が判明する書き下ろし「佐伯の一日」では、彼女の地道かつ効果的、ある意味でゲームのやりこみ的な勉強法が披露されます。
麗華を崇拝する佐伯の台詞の人工無能的なピントのずれ方は、『よくわかる現代魔法』(桜坂洋) *2の嘉穂と方向こそは異なるものの、どこか共通する匂いを感じます。こういう台詞によって、「生き方を確立し迷いのない自分」が、より一層強調されるということかも。
何があっても決して恋には至らない男と女の間で、数々の友情がきちんと成立するのは、何でもござれの恋愛観の中だからこそ*3ですね。全4巻まとめてお薦め。

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