オトナリサンライク

ベースを奏でるガンコナー後藤次利

元少年掏摸団のキーチは、保護観察期間の奉仕活動として 妖精トラブルの相談センターで見習として働くことになるが、所員は誰も、見て呉れは良くても性格に何ありの女ばかりで――人類の《善き隣人》と交流を描くハートフルテイル。
見た目お子様の所長ディアナ、無愛想なメイド姿のメアリ、男装貴族のルシアナ、ぼんやりシビアなアニーと、一見選り取り見取りのハーレム状態のように見えますが、キーチの精神年齢が何とも子供というか、男子小学生並というか。女の子への興味の程度も小学生的で、熱血系ではあるんですが、いわゆる《硬派》とは大分違います。そんなわけで、ラブコメに発展するにはまだまだ時間がかかりそう。
『首領に捧げる子守歌』(野梨原花南) *2に登場する男の子にも感じたんですが、男の子がどこに恰好をつけるか、のポイントが、男性作家の場合と微妙にずれている感じがするのが面白い。
今巻は連作短篇の形式で、中でも美人店員が勤める靴屋で働く妖精が何故か最近サボり始めた理由を探る第3話「引きこもりにまつわる靴仕事」の、みもふたもない結論がいいです。
第2話「家主にまつわるビスケット」のラストを見ると、メアリが正ヒロインの座にあるようですが、次巻以降も、友情を育むだけで恋愛には発展しそうにない系の展開を希望。

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