Googleストリートビューと相互監視する「村」社会

yomimaru2008-08-11

bk1

先日、留守中の来訪者を携帯電話で確認できるようにカメラ付きインターホンを設置した私です。

Googleストリートビューと『ギートステイト』を読んで思い出したんですが、『ギートステイト』小説パートの著者による「未来心理」の論文(桜坂洋)に、まさに今話題の状況を先取りした部分があります。

ケータイと同じく、あった方が便利だからという理由で、未来の人々は監視カメラを利用している。カメラに四六時中見られている状態であれば、人は、常に公の自分、すなわちしっかりした姿を維持すると思われるかもしれない。しかし、冷静に考えれば、そのような状態をすべての人が保ちつつ日常生活を営むなど不可能だとすぐにわかるはずである。それよりも、近代以前の村社会型の相互監視が世界中に広がると考えた方が都合がよい。未来学エンターテインメント いまここにある未来

この後は、路地の風景がコミュニティの空間からパブリックな空間へ移行したとしても、個人が全世界すべてを監視することはできないから、結局自分が興味を持つものしか見ないだろう、互いに興味を持つ者同士による「村」の中での相互監視が大半だろう、変わるのは、「村」の構成員の現実の所在が世界中にちらばりうることだ、っていう方向性で議論が進んでいきます。
私の個人的なGoogleストリートビューに対する印象は、こういうやり方もありかな、という感じ。ブロック塀に孔を開けたり配線を組んだり、インターホン設置工事にかかった手間を考えると、Googleストリートビューがリアルタイムなら、こんな苦労しなくてすんだのに、と思う部分もちょっとだけあります。
Googleストリートビューにあんまり抵抗がないのは、地に足のついた桜坂技術論の影響もありそう。近刊の『よくわかる現代魔法 6』(桜坂洋)でも、話題の《先取り》を見せてくれるんじゃないかな、と期待しています。