らじかるエレメンツ2

子供の頃から老け顔なら、大人になっても老け込まない
著:白鳥志郎 画:カトウハルアキ GA文庫*1

化学実験部の宿敵である生徒会長アルミと、幼馴染みであるために同居を余儀なくされた部員鉄太郎だが、生徒会長選挙に対立候補が現れ――ハイテンション学園コメディ。
生徒が誰もワルノリしすぎるバカ騒ぎが嬉しい本作ですが、超常要素が入っている『究極超人あ〜る』(ゆうきまさみ) *2や『バカとテストと召喚獣』(井上堅二) *3とは違って、現実っぽい設定だけで押しているところが本作のウリ。
現実に存在する事実を小ネタとして小説に持ち込む場合には、大別して、今まさに動いている事実を持ち込むやり方と、ある意味で古典になった事実を持ち込むやり方の2通りがあります。
たとえば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(伏見つかさ) *4は前者のやり方でリアルタイムな話題性を引き出しています。
一方本作は、『よくわかる現代魔法』シリーズ(桜坂洋) *5と同じく、後者のやり方。出てくるネタが少し古目で、しかも他の文から浮かずに馴染んでいるため、そのネタを知っていないとネタとわからない。わからなければわからないでいい、というスタイルです。
リアルタイムなネタを使った場合、数年たつと、ネタによっては作品自体にも影響が及んで、全体が妙に古臭く感じられてしまうことがありますが、最初から古典的な、歴史の淘汰を生き残ったネタならば、そんなに印象は変わりません。
そういった意味で長生きできる可能性を秘めた本シリーズだったんですが、次巻が最終巻とのこと。最終巻でもこのワルノリ展開を希望。お薦め。

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