アンゲルゼ ひびわれた世界と少年の恋

少女キャリーは豚の血を浴びて暴走する

初戦を控えて情緒不安定を隠し切れない陽菜を見て、幼馴染み覚野は戦争の動向を知るべくアンゲルゼ研究会を始めるが――素直になれずに誤解する少年少女のサバイバル青春小説。
自分に自信がなくて人を避ける陽菜、その態度に苛々する覚野、それを見てますますおどおどする陽菜……と、負のフィードバックがかかる二人の関係には、今巻で大きな動きが。気になる相手に当たったり、わざと別の相手と付き合ってみたり、と、中学生っぽい不器用なやり方がたまりません。
陽菜に厳しい上官敷島ですが、その厳しさが逆の意味で贔屓に見えてしまうところは、『エースをねらえ!』(山本鈴美香) *2岡ひろみと宗方コーチの関係に似ています。とすると、敷島に憧れる有沙がお蝶夫人+緑川蘭子、有沙に恋する湊が尾崎。『エース〜』でひろみを優しく励ます藤堂の役回りは覚野になりそうですが、ヒロインに厳しいあたりが現代的。
この役回りだと、敷島は早々に亡くなって、後を誰かに託すことになります。覚野が『エース〜』の大悟役を兼ねられるのか、続きが楽しみ。

><