ミッキーマウスの憂鬱

夢の王国のキャラクターも格差社会に生きる
著:松岡圭祐 画:トヨクラタケル 新潮文庫*1

東京ディズニーランドに派遣されて準社員となった大輔は、入ったばかりの夢の王国で《やりがいのある仕事》を求め――社会を知らない高卒21歳の体当たり裏舞台ストーリー。
高校を出てからずっとフリーター暮らしの大輔は、初めて入る会社組織で初日から、与えられた仕事がつまらなくてやり甲斐がないと不満を漏らしたり、何も知らない新人の癖に仕事の進め方に口出しをしたり、と、なかなかのDQNぶり。『サラリーマン金太郎』(本宮ひろ志) *2から、元暴走族の性根を除去した雰囲気がイマっぽい。
そんな彼が裏方のあちこちに顔を突っ込んでは見る、シビアな世界の数々。パレードのミッキーの中の人 久川とショーのミッキーの中の人 門倉の競争意識は、着ぐるみの見た目とのギャップもあって熾烈です。
運営会社をオリエンタルランドではなくオリエンタルワールドという架空の会社にして、~ランドには実在しない調査部に正社員の嫌なところを集中させ、完全な悪役にしたところが本作のミソ。『ディズニーランドの経済学』(粟田房穂・高成田享) *3と一緒にどうぞ。

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