輪環の魔道師 4 ハイヤードの竜使い

ストーカー的愛情表現に慣れ切る生き方

幼馴染みセロを傷付ける者は人でも魔族でも容赦しない、彼さえいればそれでいい、そんなフィノの前に、セロの過去を知る新たな女が登場し――いつも一緒にいるはずの幼馴染みファンタジー
セロを必要とし、セロに必要とされたいフィノと、彼女を一旦は置き去りにして故郷を出たセロの関係を見ていて、ハーレム系の中心の男にも、「一人で生きていける奴」と「女がいないと駄目な奴」の2系統がいるんだな、と合点しました。
セロに好意を寄せる女の子たちの鍔迫り合いを眺める彼の視線には、「どちらが残るのか女達に決めさせて、その間自分は煙草を吸っている二股男」みたいな、女の心を敢えて汲み取らない男の無関心を感じます。セロは、基本的には、女の子がいなくても生きていけるのですね。
そう思ってみると、『まぶらほ』(築地俊彦) *2の和樹や『ROOM NO.1301』(新井輝) *3の健一は一人で大丈夫なタイプ、『レジンキャストミルク』(藤原祐) *4の晶や『さよならピアノソナタ』(杉井光) *5のナオは、女がいないと駄目なタイプでしょうか。擬似家族モノは基本的に後者になりそうな感じ。
黒い女の子と付き合っていくには、男もそれなりに黒くないといけない。男が鈍感か否か、とは違った見方に気付かせてくれた一冊でした。

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