タイマ

地頭は倒るる所に藁をも掴め

新宿で職務質問を受けた僕は、右ポケットの中に入っているものを聞かれたときに躊躇って――乙女のカリスマ大麻事件を題材に、僕に課せられる罪と罰のストーリー。
ロリヰタ。*2では美人少女モデルとの友愛に世間から指弾される汚れた小説家を描いた作者ですが、世間に非難されるのが自分だけではない、それ故に燃え上がる恋、のロミジュリ効果は、本作でも健在。
警察官と《僕》の間で、言葉というものに対する感覚に大きな溝があることを知らされるシーンが印象的。相手に合わせて喋ることがどれだけできるか、逮捕された時にもコミュニケーション能力が問われることが良くわかります。
警察官をどう騙して真実を隠し通せるのか、犯人を引っ掛けて自白に至らせる倒叙モノをさらに転倒させたコンゲーム的な展開はもちろん、僕の無力さ狡さ腹の決まらなさを圧倒する彼女のパワーも凄い。罪ある衆生を救済する弥勒、とか、汚穢の中でも聖なるマリア、といった、赦し系ヒロインです。
警察官が裁判官の心証をどう導くか、その言葉の使い方を知りたい方にもお薦め。

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